オンラインゲーマーには当たり前!ニューノーマルになったオンライン常態化コミュニケーション

コロナ禍をきっかけに多くの職場でリモートワークが始まり、チームメンバーの接続性の維持や雑談の重要性といったことも話題に上がり、オンラインでのコミュニケーションをどう快適にするかがたくさん語られるようになりました。仕事環境にも、メッセンジャーツールやビデオチャットツールが導入されるようになり、手探りながらここ数ヶ月一通りやってきたところに、「これって自分たちが何年も前からずっとやってきたことだよね?」というクールな反応をされていたのが、オンラインゲーマーの方々でした。

これから私たちが迎えるオンライン常態化社会についてのヒントを探るべき、オンラインゲーマーたちが毎日に何気なくこなしてきた「オンライン常態化コミュニケーション」の実態をまとめました。

オンラインゲーマーの3大コミュニケーション手段について

オンラインゲーマーは、同期コミュニケーションと、非同期コミュニケーションの2種類を巧みに組み合わせており、それぞれツールを使い分けています。

同期コミュニケーション

(1)ゲーム内のチャット機能。オンラインゲームは、ゲーム中にキーボードを使って、会話を行うことが可能です。ただしあくまで、ゲームタイトルごとにコミュニケーションが発生します。

(2)Discordというチャットサービス。ゲームをしながら通話やチャットをするゲーム外コミュニケーションプラットフォーム。同じゲームをしながらDiscordで会話する場合もあれば、別々のゲームをしたりテレビやネットを見るといった、それぞれが違うことをしながら、友達同士の会話にも使われます。コミュニケーションを主目的としたプラットフォームはLINEやFacebookメッセンジャーなど各種ありますが、ゲーマーの世界ではDiscord一択という状況です。「使い勝手が圧倒的に違う」のだそうです。

非同期コミュニケーション

Twitter。ゲーム毎に、ゲームの人格としてTwitterアカウントを作ることが多くて、そのゲーム専用のアカウントでほかのゲーマーと会話しています。コミュニケーションの他に、情報収集にも使われます。

ゲーマー愛用のDiscordはオンライン常態化コミュニケーションのツール

多くのゲーマーに愛用されるDiscordは、無料のボイス&テキストチャットアプリです。オンライン常態化コミュニケーションのツールとして活躍しています。一番の特徴が、テーマごとに個人専用サーバを開設でき、サーバ内に更に細かく話題ごとのチャンネル(チャットルーム)が展開できサービスです。

SkypeやLINEのようなツールをイメージして頂ければ近いでしょう。ただし、コミュニケーションの軸が「友達登録した人達」中心ではなく、「話題」や「目的」中心であることが、LINEやSkypeとの大きな違いです。自分が参加したい話題をやり取りしているサーバを探し、所属し会話、チャット、動画の共有などを行います。

無言着席とつなぎっぱなしの常時接続はDiscordの魅力

Discordの特徴でもあり、ゲーマーの心をつかんでいる魅力は無言着席。Skype、Zoomのように、お互いに申し合わせて「繋ぐ」のではなく、設置されているサーバにそっと入り、たまたまタイミングよく同時アクセスしている人とコミュニケーションをとる使い方です。

プレイ中のゲームの画面をそのまま共有できるなど、画面共有や動画共有などがやりやすいことも魅力の一つです。「今、私これやってます」みたいな感じで参加者全員に配信することも多いです。YouTubeでわざわざ知らない人にゲーム実況を公開したりはせず、Discordのコミュニティにいるメンバーだけに配信する形です。

ボイスチャンネルは「スナック」のような存在

Discordではボイスチャットとテキストチャットの両方が使えます。ゲームで絡んで仲良くなったあとに、ボイスチャットでコミュニケーションするという、段階を踏む人が多いですが、あらかじめ「この時間からボイスチャンネルをやります。適当に来てください」と知らせ、自由参加にする場合もあります。

「飲み会をやりませんか?」と他者に話しかける感じではなくて、「開けてるので、この時間に来て下さい」まるでスナックのような気兼ねない感じで呼びかけます。

常にボイスチャットができる場所が維持されている状態なので、タイミングを合わせて「通話しに行く」というよりは、既に雑談が行われている広場に「ふらっと顔を出す」感覚に近く、気取らないところがポイントです。

Discordはゲームに詳しくない人でも平気?!

元々のゲーマー友達などの紹介やTwitterなどで見えるゲーマー同士のやり取りから、自分にあったDiscordサーバに参加するゲーマーも多いですが、ゲームコミュニティと接点がない全くの初心者にもDiscordを使ったコミュニケーションへの参加は可能です。

ネット上には、色々な話題を扱っているDiscordまとめのトピックがあります。自由に入れるサーバを紹介するまとめ情報もがあります。例えば、「この話題について語ろう!誰でも入れるサーバはココです。」といったものです。。最近では、ゲーム系イベントの事務局か編集部が自らDiscordコミュニティを作り、積極的にファンに宣伝するところも増えています。

みんなが気持ちよく利用できるため、Discordコミュニティには「お作法」が存在

日本ではDiscordを使っている利用者がまだゲーマーの範囲に限られているため、ゲームコミュニティにもともと存在するマナーを、ゲーマー同士守っている状況があります。Discord自体に明確な公式運営ルールはないものの、各サーバの運営者が、居心地の良い環境を作るために工夫された「お作法」が存在しています。「お作法」というと難しそうですが、長年オンラインコミュニケーションを続けてきたゲーマー同士の「コミュニケーションを円滑にする知恵」とも言えるかもしれません。

例えば、各サーバの運営者によって異なりますが、入室したらまずは「こんにちは」と挨拶し、「よくわかんないけどずっと黙ってる人が部屋にいる」という探る雰囲気を作れないようなお作法を適用しているところは多くあります。

日本人の「ウチとソト」感覚はDiscordコミュニティ作りにフィット

Discordの魅力の一つとして、ゲーマーの方のオンラインコミュケーションリテラシーの高さに応えられる設定が用意されていることもポイントの一つのようです。書き込めないNGワード設定が出来たり、管理者が認めないと参加や入室が出来ない領域が、チャンネル(チャットルーム)ごとに細かく定めることが出来たりします。日本人のほどよい「よそよそしさ」がDiscordにフィットしています。

全てのサーバに管理人がいて、管理人は全てーのユーザー、つまり誰でもなることが出来ます。それは他人がやるか、自分がやるかの違いしかなく、マイホームと他人の家に近い感覚です。自分の家に誰かが上がってくることもあれば、自分が他所にお邪魔することもあります。そういった「ウチとソト」の感覚が働き、居心地の良いコミュニティ作りに役立ったかもしれません。

まとめ

オンラインゲーマーの3大コミュニケーション手段は、、常時展開されているDiscordを使った話題を問わないコミュニケーションと、ゲームタイトルごとにあるゲーム内チャット機能の「同期コミュニケーション」と、ゲーム専用Twitterアカウントを活用した「非同期コミュニケーション」です。メディア環境研究所は、オンライン常態化コミュニケーションのツールとして活躍するDiscord上のコミュニティに注目しています。

各ユーザーが自分のサーバをマイホームのように運営し、他者のサーバを他人の家という感じを持ってネット上で居心地の良い環境を作り上げることができるDiscordというサービスは、日本人の「ウチとソト」感覚とうまくマッチしたとも考えられます。さらに、常時接続しておきながら、気軽におしゃべりや意見交換したりして親交を深めつつ、つながりを拡大させるといったところもこれからのオンライン常態化コミュニケーションに必要なファクターと言えるのではないのでしょうか。

※掲載している情報/見解、研究員や執筆者の所属/経歴/肩書などは掲載当時のものです。