第5回 メディア環境研究所フォーラム「生活者のメディア接触は、どう変化したのか。5つのクラスターの動き」開催・資料公開
「タイムコンシャス・マス」の誕生
本年のメディア環境研究所フォーラムでは、毎年2月に実施している「メディア定点調査」を再分析することを通じて、二つの提言をしました。
再分析のポイントは、「時系列の分析」と「クラスター分析」。
メディア別の「接触時間」「イメージ」「新しいサービスの浸透状況」を、時系列に注意深く観察すると、メディアの市場は巷間言われているような「デジタル領域が拡大し、アナログ領域が縮小する」という、ステレオタイプな状況ではなくなってきていることがわかります。
新しく登場するデジタル系のサービスを含め、メディアはもはや、デジタルかアナログかを問わず、「自分にとって必要か、そうでないか」という基準で選ばれる、コモディティな存在になってきました。
ま た、生活者単位で、どのような「メディア接触パターン」があるのか、を知るために実施したクラスター分析からは、「各種メディアにニュートラルに接触して いるが、接触量は極めて少なく、選択的に情報を選び取る、ライフタイムコンシャスなオーディエンス」が市場の4割以上を占め、さらに増加している、という ことが判明。こちらも、「デジタル偏重の生活者が増加している」という一般的な解釈に見直しを迫る結果となりました。
情報過多が叫ばれる 現在。生活者は、選択する情報を絞り込み、「自分にとって必要かそうでないか」を厳しく見極めつつ、いろいろなメディアを使い分けていることがわかりま す。われわれメディアや広告に携わるものも、個別のメディアへの接触の多寡にとらわれるのではなく、「選択的に、ニュートラルに情報を求める生活者」の存 在を前提として、どのように情報を提供していくべきなのか、考えていかなくてはならないようです。