メ環研の部屋「家の中に広がるみらいの情報生活」前編

Stay Homeをきっかけに日本の家が多機能化していく兆しが生まれつつあります。スマートスピーカーを始めとしたIoT家電が、天気や私たちのスケージュール、体調に合わせて生活アドバイスや便利な情報を提供してくれるようになる未来の生活は本当にやってくるのでしょうか?「ゴーグルで覗くみらい情報生活調査」と題してVR仮想空間で未来のヘルス、レジャー、フードサービスを体験してもらう調査を実施しました。この調査についてご報告するとともに、みなさんとの議論もご紹介します。

調査の詳細について

「ゴーグルで覗くみらい情報生活調査」の詳細については、調査リリースをご参照ください。
・第1弾:https://mekanken.com/news/1219/
・第2弾:https://mekanken.com/news/1236/

概要

①家庭用IoT普及には、「情報の得」、「気持ちの得」、「経済の得」がポイント。そしてベースとして必要なのは、信頼できる情報源であること。
・情報の得:自分を理解し先回り、広告ではなく提案をしてほしい。
・気持ちの得:IoTに自分のことを理解してほしい、思いやりや愛着を求める。
・経済の得:安心して買えることをサポートしてほしい。
②女性はIoTとの会話を楽しみ、男性は簡潔なやりとりを求める傾向がある。視覚情報を組み合わせることで表現の幅を広げてくれる。

スピーカー

メディア環境研究所 上席研究員 野田 絵美
メディア環境研究所 上席研究員 小林 舞花

Stay Homeをきっかけに家の持つ機能が変わる

野田: これまで、家は憩いの場であり、外で学ぶ、外で働く、外で診療される、みたいなのが当たり前でしたが、これからStay Homeをきっかけに、家が多機能化していきます。

コロナ禍で、加速度的に家の多機能化が進みました。そんな中、スマートスピーカーが象徴的ですが、他にも冷蔵庫がメディアになってレシピを教えてくれたり、買い出しの提案をしてくれたりするようになり、家の色んなものが家電を象徴的に連携してメディアになって私たちに情報をくれるかもしれないですね。

チャットの中で参加者から「スマートスピーカーをよく使うようになったよ」と言っていますが、では皆さんはどうでしょう?

メ環研の部屋参加者の65%は毎日スマートスピーカーを利用している

野田:スマートスピーカー、皆さんは持っていますか?使っていますか?という質問ですが、65%の人が何らか持っていて、毎日使っている、という人も多いですね。

コロナ禍でも、欧米でも若年層がスマートスピーカーを使う頻度が増えたデータも出てきました。スマートスピーカーを始めとするIoTが家に来るかもしれない未来が見えてきました。

「ゴーグルで覗くみらい情報生活調査」と題してVR仮想空間で未来のヘルス、レジャー、フードサービスを体験

野田:家の中の色々な情報体験を、ヘルス、レジャー、フード、という3つの領域に分けて様々な情報体験をさせました。

VR:おはようございます。今日もお元気ですか?まずはヘルスチェックから始めましょう。(電子音)はい。昨日の消費カロリーはいつもより50キロカロリー多く、順調に体脂肪も落ちてきていますよ。さて、今日は外食の予定が入っています。そんな日に丁度良い新発売のお茶があります。糖と脂肪の吸収を抑えるお茶です。早速試してみますか?

野田:ここで「はい」と答えると、「じゃあ、サンプルを取り寄せますね」という風に買える、というシナリオがまわっています。

レジャーのシナリオでは、窓がシーズンに合った旅先の景色やツアー情報を提案してくれます。VRのリビングの中で雪が降ってきたり、雷や、薄暗い感じの世界になったりしまいます。そんな天気が悪くなった瞬間に「せっかくの休日に残念なお天気ですね。」って話しかけられます。で、気分転換にこの時期のハワイの景色を見せます。そこで「興味がある」と答えるとツアー情報を届けてくれます。

そして、隙間時間、歯ブラシをしながらなんとなくニュースをスマホで見たりもしますが、歯ブラシ自体にその機能を持たせ、歯ブラシを持った瞬間に、「今日の主要なニュースをお届けします」とニュースを読ませました。

最後、3つめの領域は、フードになります。タブレットで、時間が12時に近付いてくると、タブレットが急に「今なら12時までに吉野家のヘルシーメニュー“ライザップ牛サラダ”をお届けできます。注文しますか?」というような提案がきます。

冷蔵庫に近付くと、「牛乳を発注する日ですよ」と教えてくれます。「明日から冷え込むんで」と天気情報も含めて「寒い朝に体を温めるコーンスープもどうでしょう?」みたいな話を入れました。

スマートスピーカー所有者に未来の情報生活を体験してもらい、魅力度は100%だった

野田: 20~40代のスマートスピーカーを持っている、または利用経験のある男女30名に調査しました。

結論から言うと、この情報生活自体の魅力度は100%でした。主な理由が、自分でやらなくても必要なことを先回りしてくれて、楽できそう70%みたいな話でした。

インタビュー概要を、後編にてご紹介します。

こちらで発表した資料はダウンロードいただけます。

※掲載している情報/見解、研究員や執筆者の所属/経歴/肩書などは掲載当時のものです。