メ環研

2020.11.09

<メ環研’s EYE >上海から見えてきたアフターコロナの生活者動向

<メ環研’s EYE >上海から見えてきたアフターコロナの生活者動向

コラム

Release

3月以降、新型コロナ国内新規感染者がほとんど発生していない状態が続く中国。生活者の気分は「コロナはもはや過去」とアフターコロナ感覚も広まっているとのこと。世界でいち早くアフターコロナ状況を迎えている中国、その中でもメディア・コンテンツ・消費の先端地である上海はいまどうなっているのか?生活者の動向から、近い将来の日本における生活者の兆しが見えてくるのではないか。博報堂生活綜研(上海)(以下、生活綜研(上海))のレポートをもとにひもときました。

65%の中国生活者は生活を見直そうとしている

生活綜研(上海)が実施した定点調査では、中国生活者の消費心理が急回復。10月の「生活者消費意欲指数」(76.1点)は前月比でいうと6点以上伸びています。10月は国慶節の大型連休があり、コロナ禍が落ち着いてきたタイミングで長い休みがやってきた高揚感が高まりました。

この回復基調のなかで生活意識はコロナ前に元通りか?と思いきやそうではないようです。コロナ禍を経た中国では生活を見直して再編集していくという動きが出てきています。データによれば、65%の生活者は「生活を見直したい」という意識を保有。見直す分野を見てみると、衛生習慣・衛生(86%)、家族関係(85%)、趣味・習い事(62%)、社会貢献(62%)といったところです。先行きのことを考えて、将来への備え(69%)をしよう、 仕事(56%)を見直して転職を考え始める人が続出しているのです。

周囲を巻き込んで「生産型消費」をする中国生活者

その中で特に目立つのが、生活をより充実させるために、アフターコロナから副業を始めた人です。しかも、副業といっても「ただ自分が稼ぐため」にするのではありません。消費と副業が一体化した「ギブアンドテイク」ともとれる行動をしているのです。自分の好きなモノ、欲しいモノは今まで通り買う。しかし、ただ消費するだけではなく、好きなモノ、欲しいモノを使って周囲の人に呼びかけ、巻き込み、行動する、何かを作り出す、「生産型消費」と言えるような新たな副業の形が生まれているのです。

例えば、高級車の所有者が週末にライドシェアサービスのドライバーをやったり、気に入った物を大量に仕入れて、WeChatのタイムラインに投稿して興味を持ってくれる友達に転売したりする人が増えています。このように購入したついでに「商品を使って呼びかけて売ってみる」のが「生産型消費」です。自分自身の消費だけでなく、他人の消費も生み出している消費スタイルです。このような行動は自分のお金儲けにもなれば、お金を儲けるついでに様々な人との交流にも役立つという点も評価されているようです。

「この人なら買ってみたい」と思わせるライブコマース

このような「消費」の観点で見ると、中国でもコロナ禍による巣ごもり需要が増加。中国ではオンラインの消費が概ね20%以上を占め、実物商品のオンライン小売額は前年同期比で右肩上がりに伸び続けています。

そんな中で特に活況を呈しているのがSNS上で生中継をしながら商品を販売する「ライブコマース」。インフルエンサー、小売りの店員さんはもちろん、バーチャルアイドルや学生らがアルバイトで生中継をやることも増えてきています。ライブコマースの特徴は「この商品が買いたい」という動機もありつつも「この人なら買ってみたい!」という動機が強いことです。日々番組を見るようにライブコマース動画を見て楽しむ。楽しむお礼に買ってあげよう。そんな購買行動が生まれているのです。「自分ならこの分野で人を楽しませることができるかも!」という自信がある人にはチャンスあふれるお金の儲け方と言えるかも知れません。

リアル・デジタルを融合させて生活圏を拡大させた店舗が増加

消費のデジタル化は、デジタル空間だけでなくリアルなローカル生活空間にも波及しています。例えば、いまひそかに人気を集めているのが広州の住宅街の一角にできたデリバリー&ピックアップ専門の無人コンビニエンスストア。このお店に行ってみると、店舗の入り口は通常のコンビニ程度の大きさはあるものの、お店の中には入れず、注文ができるサイネージと商品の受け取り口があるだけ。お客さんはオンラインで事前にこのコンビニに注文し、商品を受け取りに来たり、自分では受け取らず配送してもらったりするだけ。

人によっては直接このお店まで来て、店頭のサイネージから注文をして商品を受け取って帰ります。まさに遠隔注文も可能な大きな自動販売機といってもいいでしょう。このようなお店が、コンビニだけでなくタピオカミルクティー店やコーヒーショップなど、ローカルの住宅街に増加中なのです。このようなお店は、今までは都心部やショッピングモールの出店がメインでしたが、アプリで注文して店頭やデリバリーで受け取る人が増えたことで、今では住宅街で出店する店舗も増えつつあります。

ローカル密着にも関わらずデジタル化したお店がいま次々と生活圏の中に進出しているのです。このようなOMO店舗が生活圏まで進出し、生活圏全体を取り囲む動きは今後も進み、中国生活者全体に生活のデジタル化を拡げていくと考えられます。今後、ますます注目です。

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