メ環研

2020.08.06

メディア環境研究所ウェビナー「MEDIA NEW NORMAL メディアの新常態を考える」 パネルディスカッション再録公開

メディア環境研究所ウェビナー「MEDIA NEW NORMAL メディアの新常態を考える」 パネルディスカッション再録公開

講演・イベント

Event

2020年7月14日、博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所は 「MEDIA NEW NORMAL メディアの新常態を考える」と題したオンラインイベント「メディア環境研究所ウェビナー」をZoomにて開催いたしました。その際のパネルディスカッションの再録を公開いたします。

森永:キーノートセッション、いかがでしたでしょうか? ここからは強力なパネリストのお二人とパネルディスカッションを始めていきたいと思います。まず初めに視聴者の皆様にアンケートです。

「本日、どんな環境からアクセスされていますか?」ということで、出勤して会社からか自宅からのリモートワークかをご回答いただければと……皆さま是非ボタンをポチッと。


森永:……では結果を見てみましょう。
お、会社からの方が5割超えてますね……このアンケート、実はメディア環境研究所が何らかの発信をするたびに聞いてきたものなんですが、今までずっと7:3、6:4ぐらいの割合で自宅からのアクセスの方のほうが多かったんですよね。会社からのアクセスの方が5割以上というのは今日はじめてですね、なるほどー……いろんな変化を感じますね。
さて、本題に入っていきましょう。まずはパネラーの皆さんをご紹介していきたいと思います。

森永:まずは阿蘇さんからお願いいたします。

阿蘇:阿蘇でございます。TBSの関西支社で営業をやっております。初のパネリストということで、すごく緊張しておりますが、今回リモート出演ということで、出させて頂いております。お世話になっておりますスポンサーさんからも、たくさん色んな声を頂いてハードルが上がっているところです(笑)。局としてというよりは、営業目線でお話することが多いかと思います。よろしくお願いします。この新型コロナ禍で変わったことは、今まで自分の家は寝るためにしか帰っていなかったのですけど、その家時間の充実と設備の充実、健康に関して見直すようになりました。更に自分で料理をしたり、ついでに知人の紹介でインドとリモートで繋いでスパイスカレーの料理教室などをやって楽しんでいました。これまでのセミナーを聞いていて、既に頭が爆発しそうなんですが、よろしくお願いします。

森永:阿蘇さんは、この新型コロナ感染拡大の渦中に関西転勤が決まったという激動状態なんですよね?  まさにキーノートでもキーワードに上がっていたローカルとの行き来を体感されている方だなと思って、今回阿蘇さんにご登壇をお願いした次第です。今日はよろしくお願い致します。

阿蘇:よろしくお願いします。

森永:では、次は玉置さん、よろしくお願いします。

玉置:1,500人以上の方が……

森永:はい、視聴されて……多いですねー!

玉置:考えてみると、これまで大学で講義したり、色んなところに行ったりしましたけど、1,500人以上の人を前にしゃべるのは初めてですね。非常にどきどきしております。
僕は阿蘇さんとは逆で、大阪の出身で、それこそ30過ぎまで大阪だったんですね。その後は、KADOKAWAとか福武書店……今のベネッセですね、とか産経新聞とか色んなところで働いていたんですが、全国転々として東京に今いるんですけど、3回目なんですよ。ちょうどいま、単身赴任をしていまして、家族が大阪なんですね。なので、ほとんど大阪に帰れない、という状況ですね。阿蘇さんには多分及ばないと思いますけど、テレワーク飯を毎日ノートにアップするのが仕事みたいになっている、という感じです。今日のキーノート、非常に面白くて、なるほどな、と思うところもいっぱいありました。よろしくお願いします。

森永:よろしくお願いします。
そして私、森永と申します。この4月からメディア環境研究所の研究員となりました。コミュ障を打開する引きこもらない方のオタクとして生きております。新型コロナ禍環境下では、在宅環境整備沼で、やたら機材を買ったりしております。玉置さんと阿蘇さんと違うところは、東京生まれ東京出身なので東京からまるで出ていないというところでしょうか。

では早速1個目のお題に入っていきましょう。

森永:このパネルディスカッションを実施するにあたって、阿蘇さんと事前に雑談させて頂いたとき「どうですか、TBSさん、また落ち着いてきて戻りたい、みたいな環境とか雰囲気とか、社内、あったりしますか? 」みたいなことをふらっと聞いたんですよね。なんだかんだで戻りたいという空気感が強いのかなと思っていたこともありまして。そうしたら阿蘇さんが「いや、戻りたい、というよりも、もう様変わりしすぎて『戻れない』感じのほうが強いかも」とおっしゃっていて、それは面白いな、と感じたんですけど。

阿蘇:はい。社内でもいろいろ意見あると思うんですけど、私が感じてることでいうと、これだけ様変わりして、更に(視聴者の)生活態度も変わっているということが大きな要素だと思います。例えばバラエティにしても、人と人の間隔空いたセット。情報番組はリモートでパネラーやコメンテーターの方に出演頂くっていうのがべースになってきているんです。それでも充分できるなということを感じているのは確かです。ただドラマに関して言うと、どうしてもリモートとか人の間隔があるなかでは、当然照明もそうですし、なかなか作るのは難しいなというのを感じているんです。ただこれはもう、社会情勢的にも元に戻ることを考えても、なかなか戻れないだろうなと思って仕事をしている人が多いと感じています。

森永:なるほどなるほど。そういえば、これまでは転勤すると、元々いた場所で培ったビジネス上の人脈が途切れたり薄くなっちゃったりする中、この新型コロナ禍でテレワークが普及したタイミングだと、意外に東京の環境を維持したままで関西いけるよ、恩恵あるよみたいなお話されてましたよね。テレビ番組でも、取材の仕方とかも、リモートだからこそできることが増えていたりするんでしょうか?

阿蘇:そうですね。リモートが増えているのもそうですし、お店の取材とか、そういうところもそうですけど。1からスタッフを沢山連れていくのも現実的でなかったり、予算的にもそちらの方が良かったりが見え隠れしているし、変わってきたと思います。

森永:今、阿蘇さんのお話を伺っていて、テレビの番組を作るときに演出とか仕立ての話の前に「何を送り届けるのか」という根本までさかのぼって考えたら、リモートも悪くない、いいところが見えてきたみたいな変化が、現場でも起きているんだなと感じました。

「何を送り届けるのか」の大本に戻るという話で、こんどは玉置さんにお聞きしたいんです。前に雑談してた時に、東京ウォーカーって「お出かけ情報を作る」ってことを核にビジネスを組み立てているだけで、「雑誌」というメディアの形にこだわってるわけでじゃないよっていう話が、めっちゃ面白いな、と思ってたんですが。

玉置:まさに新型コロナ禍直撃でして、東京ウォーカーと横浜ウォーカーと九州ウォーカーが6月20日を最終号に休刊しまして、関西ウォーカーと東海ウォーカーは紙も残っているんですけど、基本ウォーカープラス中心に変わったんですね。ウォーカープラスっていうのは、Webサイトなんですけど、実は20年以上やっていて、非常に古いサイトなんですよ。森永さんに言ってたのは、僕自身は、もともと、産経新聞で事件記者をやった後、福武書店、今のベネッセですけど、そこで女性誌をやって、その後ウォーカーを30年近くやってるんですけど、とにかく基本はお出かけ情報をずっと発信してきたんですよ。その中で、よく雑誌やってる人間は紙への思い入れというか、プライドがよくあるんですけど、僕自身は、すごく長くやってるんですけど、実はあまり紙に思い入れが無いんです。

森永:思い入れすら無い!?

玉置:要は、お出かけ情報というか、情報を発信することに、情報を流通することに興味があって。だから、デバイスは何でも良いんですよ。さっき色々、まさにメディアがどう変遷しているか、というのをご説明されてましたけども、お出かけ情報を出すにあたっては、紙でもWebサイトでも、あるいは、モバイルでも、あるいは、一時期動画配信の番組も作ってたんですけど、そういう動画配信、昔はUstreamですよ。

森永:なつかしいですねUstream。

玉置:Ustreamなんですけど、要はデバイスを全く僕は気にしなくて、むしろそれは、複合的にやった方が面白いっていうのを、ずっと言ってて。昔僕はウォーカーREBORNというの情報メディアの複合的な再統合をウォーカーの総編集等だったときにやったんですよ。

森永:素人目の判断で「今もう、お出かけ情報はネット上に死ぬほどいっぱいあるし、わざわざ雑誌を買う必要がないから、ウォーカー系は辛いんじゃないかな? 」って結構言われたりしませんか? とお聞きした時に「いや、お出かけ情報を作るっていう、本業の根源がもともとあって、それをどう出すか、を考えたら、別に出し先は色々で良いよね」っておっしゃってましたよね。

玉置:そうなんです、僕、デバイス自体は本当に気にならないんですよ。むしろ、複合的にやる方が面白いと思うんです。先ほどからの、キーノートセッションのときのチャットにもありましたよね。「今テレビもデジタルだよ」みたいな書き込みが。

森永:ありました、ありました。

玉置:本当だと思うんですよ。だからテレビ画面なのか、紙の雑誌なのか、いわゆるスマホのモニタなのか、タブレットのモニタなのかってあんまり本当は、関係無いんですよね。阿蘇さんにお聞きしたいくらいですけど(笑)。

森永:どうでしょう阿蘇さん?  今回テレビでは、昔のドラマが再放送によってものすごい復活して、時代を超えて色々反応されていてましたよね。アーカイブを活かすことができるテレビの強さみたいなものを、改めて感じたりしたんですよね。チャネルを選ぶんじゃなくてコンテンツ1つを選ぶ時代に変わりつつある中で、逆に再放送の強みを見直すこともあったのかなあと思うんですが、TBSさんはそのあたりどのように捉えて進行してたのでしょうか?

阿蘇:例えばドラマでいうと、「JIN−仁−」や「逃げ恥」は、やはり視聴率も反響も良かったです。やはり良いものを出せば、視聴者は見てくれるんだなということと、それを見るところが今はデジタルによって増えているのも、逆に良いことじゃないかなと。増えることによってSNSで拡散されて、またテレビに戻ってくるという現象がさらにあって。そういう意味でいうと、制作者達も良いものを作れば、何年経っても人は帰ってきてくれるんだ、と思った部分もあると思います。

森永:それこそ、コンテンツをマネタイズする時間軸を、テレビの本放送タイミングや本の出版タイミングみたいな「その日、その瞬間」だけで考えるんじゃなくて、長く広くとらえて見直すようになったって感じですかね。

阿蘇:そうですね。もともとテレビ局には2つのお客様がいます。1つはスポンサーさんがいて、もう1つはテレビの前の視聴者です。ビジネスモデル的には、どうしても我々営業はスポンサーさんと向き合うことが多くて、番組制作者は視聴者に向き合っていることが多いです。ここでマネタイズというお話ありましたけど、昔のアーカイブをどうやってもう1度世間に広めていくか、とか、場合によっては世界に広めていく等に取り組むタイミングが丁度きていたと実感もしておりました。これは新型コロナ禍以前からですけども。また、私が大阪に来たこの7月の人事でも、今流行りのDX局という、デジタルトランスフォーメーション局という局ができて、そこで(配信に関する)制作とか権利処理とか営業とか、一括してやるようなシステムになったので、より(コンテンツとしても)BtoCにも近づいた仕事が増えるのではないかと感じております。

森永:なるほど、なるほど。DX、デジタルトランスフォーメーションっていうと、テクノロジーをどう取り入れるかという話ばかりになりがちですけれど、本来は新しい時代に合わせるために、自分達の本業の足元をちゃんともう1回見直して棚卸して、そこにどんなテクノロジーを当てるか、という考えを積み上げていくことが、まず必要だと思うんですよね。以前玉置さんとお話していたときに「コンテンツの1つ1つとか、ニュースに乗っける情報の1つ1つは、実はちゃんとしているのに、それをどう番組とか紙面のフォーマットに乗せて出そうか、という加工をし始めた瞬間に、なんかおかしくなるところが目につくようになった」っておっしゃっていたのが印象に残ってまして。メディアは、フォーマットの見直しが必要なんだって何回も何回もキーワードでおっしゃってたなーと思うんですが。

玉置:非常に口はばったいというか、阿蘇さんがいる前でしゃべるのもしゃべり難いのですが。人によって色々だと思うのですが。多分、新型コロナ禍が非常にひどくて、緊急事態の頃は、本当に家にいる時間が長かった人が多いと思って。新型コロナ関連の情報を知りたい、ということで見てると、テレビってものすごくたくさんワイドショーとニュース番組があるんですよね。段々、見るのがしんどくなった人もいると思いますけども、結果、家にずっといると、ものすごい時間、ニュース番組があって、ワイドショーがあって、お昼とか全部並んでるじゃないですか。みたいなことがあって、その時に、ワイドショーの情報発信の在り方というのが、例えば行政の方から逆に批判したりとか、批判するのはどうか、とか色んな議論があったんですけど、僕はむしろ、そういうことよりも、ワイドショーのニュース記事の作り方にせよ、僕らの雑誌の作り方もそうなんですけど、イノベーションしてないよね、と。

森永:型にはめてる、みたいなことですよね。ワイドショーだと、ここでキャッチーな事実情報出して、次にちょっと泣きのエピソードを入れて、みたいな構成のパターンというか。

玉置:そうそう、そうそう(笑)。

森永:メディアが情報を出すときに、パターンを踏襲しすぎじゃない? ていうことですよね。

玉置:多分、だから何か、時代はどんどん変わっていってるけども、僕もずっとメディアで飯を食ってきた人間ですけど、意外にフォーマット変わってないよね、っていうのがあって。今回、もとの世界には戻れない、という話が出てますけど、むしろ、僕はこのチャンスにメディアって色々変革すべきではないかと。面白いとか面白くなかったとかいう話ではないじゃないすか。

森永:新型コロナ禍関係なく、もっと前から始まってたよね、っていう印象ですよね。

玉置:今日、正確な情報を伝え、それを、情報じゃなくて実用するっていう話、すごくうなずいてたんですけど、そういうところにメディアも合わしてかなきゃいけないんじゃないかな、と思うんですよね。まだまだ現状でいうと、不安を煽ったりする内容が視聴率をとったり、部数をとったり、まだまだあるんですけども、僕はそこをすごく考えるチャンス、チャンスというか機会じゃないかな、と思うんですよね。

森永:確かにそうですね。冒頭の方で阿蘇さんも、「TBSも変わったから、このままどんどん変えていこう、みたいな雰囲気あるんだよ」とおっしゃってましたけど、まさに現場でコンテンツを作っている人達が仕入れてきた材料自体は悪くないはずなんですよね。でも、仕上げる時に最後、突然昔からのフォーマットに無理やりはめようとした瞬間、時代に合わなくなってきている、ということを見直す時期なのかもしれないな、と、色々話を聞きながら感じていました。

ちなみに大きく今見直されているものとして、この新型コロナ禍で特に顕著なのが音楽ライブとか、スポーツなどの観客の入れ方ですよね。先程のキーノートで言うと「そばにいる距離感」。密にできないから無観客配信にしたりする中、距離感の近さみたいなものを作るために、野球の放送も日々、球場も放送も音の出し方の工夫をしたりと、いろんなことを試したり変えたりしてますよね。
というわけで次のパートに移っていきましょう。

森永:「テクノロジーをどう使っていくか」について考えていきたいなと思うんですけれども。音楽ライブとかスポーツとか、変化せざるを得ないという話をこの数ヶ月色んなところでしていたわけですが、玉置さんが、「eスポーツ用に作った箱って、実はこの時代に超マッチしているんですよ」とおっしゃっていたの、面白いなあと思いまして。

玉置:なかなか辛い話にもなるんですけど、本当は、この7月に東所沢にうちの会社が作っているサクラタウンという、東京ドームくらいの施設があるんですけども。そこに本社も移るんですが、その中にジャパンパビリオンていうホールがあるんですよ。大小のホール。

森永:よりによってこのタイミングでオープンかあ、っていう。

玉置:Zepp Tokyoくらいの大きさのホールともう少し小さいのと2つホールがあって、あと、野外ホールもあるんですけど、このホールを作っているときに、うちの角川歴彦っていう会長がいるんですけど、去年ある程度進んだところで「やっぱりeスポーツだろう」っていう話になって(笑)。eスポーツに対応すると結局通信設備とか放送設備が必要になってくるんですよ。それだけで何億ってかかっちゃうんですけど、「わかりました! 」ということで(笑)、建て直したんです。年が明けて、実際に新型コロナ禍がおきてみると、リアルのホールに人をギリギリ、ギチギチに詰め込むのはできなくなったわけですよね。そうなってくると、もともとeスポーツの大会とかもやろう、という風に進めていたんですけど

森永:すごい先見の明というか、決断ですよね。

玉置:要はそのホールに入る人ゼロっていうのは、僕、非常に臨場感無いと思うんで、今、ライブハウスとかでやってるみたいに、ある程度は人を入れるべきと思うんですけど、そういう人達は、高いお金であったりとか、プレミアムなお客さんということで入れて、あとは完全に、ネット、デジタルで見て貰うという。リアル&バーチャルていう、方向性が見えてきたんじゃないかな、という風に思ったんですね。そのときに、うちの会社の人間とかは、「これって、結果的にサクラタウンのジャパンパビリオンて、そういう使い方できるよね」みたいな話になって。まだ、これからですから本当にうまくいくかわからないですけども、すごくそういう話はしましたね。1つは、うちの会社でいうとドワンゴっていう会社があるんですけど、子会社になりますが。そこでニコニコ超会議ていう、今年本当は10周年だったんですけども去年リアルで2日間で15万人来て、ネットで666万人くらい見ていたんですけども、今年当然、幕張メッセでできないんで、期間は8日間に伸ばしましたが、ニコニコネット超会議っていうのをやったんですね。

森永:やられてましたね。私もちょいちょい見てました。

玉置:そしたら、その8日間で1,600万オーバーの人がやってきたんですよ。

森永:なんと。桁が違う人数。

玉置:なので、リアルとデジタルということは、よくよく考えてみなきゃいけないなと。だから、いわゆるコミケですよね。うちの超会議よりも大きくて1日に20万人リアルに人が来るっていうコミケ、今年東京ビッグサイトでできなかったです。あれを本当はやる日だったときに、ハッシュタグとかで実際の日時に合わせてエアコミケやりましたよね。エアコミケの間のインプレッションが3,300万ですよ。

森永:あれも盛り上がってましたよね。私もコミケいけなかったので。

玉置:リアルとデジタルの取り合わせ、組み合わせあるいは、デジタルの可能性というのに関して、新型コロナ禍の間に相当色んな問いかけがあったんじゃないかな、と思うんですよね。

森永:そうですよね。確かにeスポーツだと競技の性質上リアルタイムに反応が返ってくることがとても重要なので、アップロード回線とダウンロード回線の両方が太くなきゃいけないってなりますよね。今、スポーツの応援でもやっぱり、家の歓声を向こうに届けたいっていう風になると、リアルタイム性みたいなことがどんどん求められるようになってくるんですよね。当然、ご家庭の環境も必要なんですけども、スタジアム側も音響設備や回線設備がちゃんとしているところの方が人気が出る、みたいな要望の変わり方もあるのかな思ったんです。そのあたりTBSさんはBLITZとか……作りかえる計画進められてる中、考慮されたりとかするんでしょうか?答えにくいかもしれないですけど(笑)

阿蘇:その辺はまだ(笑)。

森永:まあ言えません、みたいな感じですよね……

阿蘇:ただ、テクノロジーとかインフラに関してはやっぱり、従来通りのものじゃダメだっていうのは、ベースであるのでその辺はまだまだ課題の中に入っています。

森永:ちなみにテレビの現場でいうと、この新型コロナ禍によってテクノロジーの検討とか色々なものが現場でも始まってて、コンテンツの作り方がテクノロジーの導入によって変わりそう、と前におっしゃってましたよね。そのあたり今、局内では、どんな感じですか?

阿蘇:まだ実践できていないことが多いので、具体的なことを申し上げられるわけではないですけど、最近の例でいうと、新型コロナ禍でスタジオ収録できなかったときに、リモートで出演者の部屋をつないで4人の出演者が総集編をみんなで飲みながら語る演出があります。土曜夜「人生最高レストラン」ですが。これはスタジオ収録できない間に、スタジオゲストの方々はそれぞれリモート出演しながら、飲みながら過去の名場面を振り返るというような作りでした。豪華なセットの方が良いのかもしれないんですけど、ただ、豪華なセットじゃない分、逆に言うと人の日常に近づいたというか、、

森永:家飲み感が出てきた、みたいなことですか? 親しみやすいというか。

阿蘇:家の飲み感。そうですね。視聴率に表れない部分で言うと、共感みたいなことは与えられた、というか掴めたんじゃないかなという風に感じております。

森永:そういう時って、Twitterの反応を参考に見られたりするんですか?

阿蘇:そうです。Twitterの反応を見ていてですね。スポンサーさんと見ていたこともあって、そのスポンサーさんへの親近感を感じたみたいなコメントも多くあったのを知りました。テクノロジーの話からいうと、アナログに近いテクノロジーではあるんですけども、今まで気付かなかったことですが、こういう作り方が出てきたなという感じはします。

森永:なるほどなるほど。この新型コロナ禍による変化がテクノロジー活用を要求してきて、結果的にその番組とかコンテンツが実は一番届けたかったものの本質を見直させることにつながる感じなのかもしれないですね。

阿蘇:そうですね。なので、この新型コロナ禍の常態化というのがどういう風にこれから定義されていくのか、にもよると思うのですけど、もしかしたら、先程玉置さんがおっしゃってたような、フォーマットをどう考えるかとか、場合によってはタイムテーブルがどう変わるのかというのも、これからメディアとしては向き合っていかなきゃいけない課題かなと感じています。

森永:なるほど。じゃあここで改めて、前半のキーノートセッションを振り返ってみたいと思うんですけれど……。

森永:「生っぽさ」で伝える、とか「側にいる」をつくる、という上2つをここまで、なんとなくしゃべってきたんですけども、最後3つ目のレイトマジョリティの話をして終わりに向かいたいな、と思っております。

キーノートの方でもありましたけど、レイトマジョリティが、女性が来る、ということで。30代以上の女性ってずっとマスメディアの中心ターゲットだった、というか、マスメディア側が割と得意にしてつかんでいたターゲットだったと思うんですよね。この人達が変わってしまうことで、どんなことがありそうだと考えている、とか、どんなことをやりたい、とか玉置さん、あったりしますでしょうか?

玉置:実はウォーカーっていう雑誌自体が、東京ウォーカーができてから地方でも色々なウォーカーも作りましたけど、ほぼどのウォーカーも男女比は50:50なんですよ。結果的に。

森永:お出かけは性別関係なく平等だ、ということですね。

玉置:ですね。時々は女性の方が多かったり、特に関西ウォーカーが全盛だった頃は、いわゆる統計調査みたいな無作為に抽出した人がみている雑誌の調査をしてたんですけど、それで見てると、女性誌よりもウォーカーを見てる人の方が多かったんですね、関西とかだと、逆にいうと。それって、だから、既にさっき言ってた、情報よりも実用というのと同じ話で、ウォーカーって実用的じゃなかったら意味が無いんですよ。それを見てどっかに行けたり、何か買ったり、何かに使えないと、ほとんど買ってもらえない雑誌なので。もともと面白さよりも実用性なんですね。そうすると、もう圧倒的に女性なんですよ。その面白さということだと、男性の方が飛びつきやすいんですけど、なので、その辺も、本来はウォーカー、今は紙がいくつか休刊していますけど、Webサイトが今中心なんですね。ウォーカープラスって、月1億PV以上あって、花火とかだと、地域と花火っていれるとウォーカープラスが一番上にくる。だから8月だと2億PVはいくんですけど、今年は無くなっちゃうんで、

森永:そうですね、花火大会できないですもんね

玉置:厳しいですけど。なので、まさに、これまで僕らがやってきたことを試されるフェーズに入ってきたのかな、と。

森永:なるほどー! 一方で阿蘇さん、テレビの方からすると今まで、ある意味受け身だった視聴者達が能動的になるっていうことかもしれないという見方もできますが、このあたりどう捉えてらっしゃいますか?

阿蘇:そうですね。やはりTwitter等SNSの反応を見ていると、テレビと視聴者が離れていることに気付いていなかったところに、気付くようになってきた。と昨今感じていました。そういう意味でいうと、先程のCの部分(ビジネスとしても)BtoBからBtoCの部分の、Cに向けたコンテンツ作りだとか、Cの意見が反映されたコンテンツ作りとか商品作りというのが、今後更に向き合っていかなければならないことと感じています。

森永:なるほど、ありがとうございます。パネルディスカッション的には、ここらで締めようかな、というところなんですけど、視聴者の方から質問が来ておりますので、チャットを見ていきたいと思います。

 

森永:阿蘇さん宛ですね。読み上げます。「再放送のドラマの話が出ましたが、こちらは売上としてはどうなったのでしょうか? ヒットコンテンツといえど、一般的な新ドラマの提携より安かったりしますか? それとも、スポンサーさんは、再放送でも新ドラマと同等の期待、価値を感じているのでしょうか? 」っていうことなんですけど。まさに昨日、阿蘇さんとこの話をタイムリーに超雑談してたな、と(笑)。お話頂けますでしょうか?

阿蘇:正直、非常に答えにくいことではあります(笑)。ただ、スポンサーさんからはもちろん、同程度の価値は望まれてますし、かといって、再放送だから値段が変わるのかというとそういうわけでもないです。結果としては、視聴率も含めて視聴者からも賛同を得られているという状況でした。(すみません……)

森永:なるほどー、ありがとうございます。そしてもう1つ質問です。「メディアが視聴者や消費者の心理的な距離を詰めるために必要なことは? 近いメディア、近いコンテンツってどんな要素が必要でしょうか? 」という質問なんですけど、こちらは玉置さん、いかがでしょうか?

玉置:それについて言うと、僕がウォーカーでやってきたことっていうのは、完全に読者目線というか、使う人目線なんですね。僕が新人にいつも言ってたのは、編集者目線で作るなって言ってたんです。

森永:あー、なるほど。

玉置:編集者は、実際の読者目線でなく上から見て俯瞰してもの考えちゃうんだけど、自分が利用者としてレストランに行ったり、あるいは市場に行ったりしたときに何を買うかっていう、その実際に動いている人の目線で作らないとウォーカーって絶対使ってもらえないから、っていうことをいつも言ってたんで。

森永:まさに先程おっしゃっていたやつですね、雑誌作りのフォーマット先行で考えるな、みたいな話ですよね。

玉置:そう、そうそう、そうそう。この時代のメディアが一番考えなきゃいけないのは、編集する、というスキルが僕らにとって唯一のスキルなんですけど、カッコいいつくりだけでは使う人の視点とは、ずれちゃうんですよ。

森永:見栄えというか雑誌としての仕上がりは良くなるけど、実用的かどうかみたいな。

玉置:非常に矛盾したことを言ってるんだけど、水のように編集するということをこれまでずっと考えてきたんですけど、それが、これまで以上に問われるっていうことになるんじゃないんですかね。少なくとも、実用性のない仕掛けは外していかなきゃいけないな、みたいな感じですね。

森永:なるほど、なるほど。編集者の価値みたいなものも、時代に合わせて見直していくみたいなことですかね。

玉置:そうせざるを得ない状況ですよね、今はね。

森永:阿蘇さんがいかがでしょうか? 近いメディア、近いコンテンツに必要なこと、といわれると

阿蘇:そうですね。非常に難しいですけど。実は、関西支社の営業というのはラジオもセールスの範疇なんですね。ラジオの会議に出ていると、ラジオの番組の内容とか編成に関してかなりデジタルとの融合みたいなのが、言葉として飛び交ってまして。タイムテーブルもradikoを意識している部分もあって、若向けにタイムテーブルも改変されてきているのも事実です。なので、そういう意味でいうと、最初のメディア接触時間で面白かったのが、ラジオと雑誌が伸びているっていうのが現状としてあり、これが、先程玉置さんのおっしゃられた様な、デジタルとの連動とあわせて上がってきているんだと思います。そういう意味でいうと、TBSでいうと、まだ考える先は長いんですけども、ラジオとかテレビとかとSNSとかと連動というのも、今後更に出てくるのではないかという風に感じています。

森永:そうなんですね。

阿蘇:ダイレクトに、どちらかというとラジオの方がユーザに近い、リスナーに近いということから言うと、こういう目線もメディア作りにフィードバックできていけば良いのかなと、いう風な感じです。

森永:ラジオに関しては、7,8年くらい前はTwitterのトレンドにあがるといったら、テレビ番組だったんですけど、もうこの3,4年くらいラジオ番組がTwitterトレンドにあがるのが当たり前のようになってきてますよね。あれ、このトレンド入りしているものなんだろうと思って調べたら関西のラジオか、聞けないなぁ、みたいなことも増えてきたんですよね。若者の方がフラットに面白いモノをさがしていて、フォーマットとかデバイスにこだわってないな、というのは感じるところですね。

玉置:僕、いま一番大好きな番組は、「町中華で飲ろうぜ」なんです。僕のSNS見てもらうと、町中華ばかりつぶやいているみたいな。あれはまさに消費者目線というか、玉袋さんとか高田秋ちゃんとか、本当に彼らの目線ですよね。町中どこにでも中華屋ってあるじゃないですか。そこに行くっていう番組の作り方、ものすごく僕、画期的だと思うんですよ。だから、今おっしゃった、身近っていうことでいうと、町中華ほど身近なものは無いんじゃないかと思うんです。すいません、それだけ。

森永:じゃあ、最後にこの時代変化の中、直近から今後半年、一年、どのように過ごしていかれる予定かを、それぞれお聞きしたいと思います。まず玉置さん、お願いします。11月にサクラタウン開きますけど。

玉置:僕の所属する2021年室のミッションは、これまでのメディアに収まらないものを、KADOKAWAのIPでやろう、ということで、大きく言うと、オリンピック、パラリンピック、オリパラと、それから万博のプロデューサー、発表ありましたけど、2025年の万博。それから、統合型リゾート、IR。これ全部今、超逆風で全然話が進まないんですが。ただ、今こういうこと一生懸命やらないと、その先が無いと思うんですね。オリパラって、なかなか厳しいことおっしゃる方も多いですけど、1年後にやろう、ということですから、我々としては、それに一所懸命取組んでいるところです。だから、非常に、先のことを不安に思いながら、それをやらざるを得ないというか。むしろ、こういうときだからどうすれば良いか、というのを考えるみたいなことの日々ですね。

森永:ありがとうございます。阿蘇さんはいかがでしょうか?

阿蘇:これから1年というと、営業目線になってしまうんですけども、一番最初にあった、鮮度が大事とか、複数のメディアから情報をとっている、というのが消費者一般の人達の行動だと思うので、そこにいかに目を向けるかっていうことが大事かと。更にそれを支えるメディア連動みたいなことを、どうやって編み上げていくかということが大事かなと思っております。テレビで言うと我々の今回の人事では、営業の中に制作に携わってきた人間が多く加わりました。先に消費者の方々がいる、スポンサーの要望にどう応えるか、どう番組に反映させて、逆にそうすることで一般の視聴者の方々の声をどうやって集めるかというきっかけにもなると思うので、宣伝っぽく言うつもりは無かったんですけど(笑)、そういうところにも向かっていきたいと思います。

森永:ありがとうございます。こちらでパネルディスカッションは終了になります。お二人に大きな拍手……はウェビナーでは無理なので、たくさんの反応をチャット欄にお願いします。ということで玉置さんと阿蘇さん、どうもありがとうございました!

玉置、阿蘇:ありがとうございました。

2020年7月14日、博報堂DYメディアパートナーズ メディア環境研究所は 「MEDIA NEW NORMAL メディアの新常態を考える」と題したオンラインイベント「メディア環境研究所ウェビナー」をZoomにて開催いたしました。その際のパネルディスカッションの再録を公開いたします。

森永:キーノートセッション、いかがでしたでしょうか? ここからは強力なパネリストのお二人とパネルディスカッションを始めていきたいと思います。まず初めに視聴者の皆様にアンケートです。

「本日、どんな環境からアクセスされていますか?」ということで、出勤して会社からか自宅からのリモートワークかをご回答いただければと……皆さま是非ボタンをポチッと。


森永:……では結果を見てみましょう。
お、会社からの方が5割超えてますね……このアンケート、実はメディア環境研究所が何らかの発信をするたびに聞いてきたものなんですが、今までずっと7:3、6:4ぐらいの割合で自宅からのアクセスの方のほうが多かったんですよね。会社からのアクセスの方が5割以上というのは今日はじめてですね、なるほどー……いろんな変化を感じますね。
さて、本題に入っていきましょう。まずはパネラーの皆さんをご紹介していきたいと思います。

森永:まずは阿蘇さんからお願いいたします。

阿蘇:阿蘇でございます。TBSの関西支社で営業をやっております。初のパネリストということで、すごく緊張しておりますが、今回リモート出演ということで、出させて頂いております。お世話になっておりますスポンサーさんからも、たくさん色んな声を頂いてハードルが上がっているところです(笑)。局としてというよりは、営業目線でお話することが多いかと思います。よろしくお願いします。この新型コロナ禍で変わったことは、今まで自分の家は寝るためにしか帰っていなかったのですけど、その家時間の充実と設備の充実、健康に関して見直すようになりました。更に自分で料理をしたり、ついでに知人の紹介でインドとリモートで繋いでスパイスカレーの料理教室などをやって楽しんでいました。これまでのセミナーを聞いていて、既に頭が爆発しそうなんですが、よろしくお願いします。

森永:阿蘇さんは、この新型コロナ感染拡大の渦中に関西転勤が決まったという激動状態なんですよね?  まさにキーノートでもキーワードに上がっていたローカルとの行き来を体感されている方だなと思って、今回阿蘇さんにご登壇をお願いした次第です。今日はよろしくお願い致します。

阿蘇:よろしくお願いします。

森永:では、次は玉置さん、よろしくお願いします。

玉置:1,500人以上の方が……

森永:はい、視聴されて……多いですねー!

玉置:考えてみると、これまで大学で講義したり、色んなところに行ったりしましたけど、1,500人以上の人を前にしゃべるのは初めてですね。非常にどきどきしております。
僕は阿蘇さんとは逆で、大阪の出身で、それこそ30過ぎまで大阪だったんですね。その後は、KADOKAWAとか福武書店……今のベネッセですね、とか産経新聞とか色んなところで働いていたんですが、全国転々として東京に今いるんですけど、3回目なんですよ。ちょうどいま、単身赴任をしていまして、家族が大阪なんですね。なので、ほとんど大阪に帰れない、という状況ですね。阿蘇さんには多分及ばないと思いますけど、テレワーク飯を毎日ノートにアップするのが仕事みたいになっている、という感じです。今日のキーノート、非常に面白くて、なるほどな、と思うところもいっぱいありました。よろしくお願いします。

森永:よろしくお願いします。
そして私、森永と申します。この4月からメディア環境研究所の研究員となりました。コミュ障を打開する引きこもらない方のオタクとして生きております。新型コロナ禍環境下では、在宅環境整備沼で、やたら機材を買ったりしております。玉置さんと阿蘇さんと違うところは、東京生まれ東京出身なので東京からまるで出ていないというところでしょうか。

では早速1個目のお題に入っていきましょう。

森永:このパネルディスカッションを実施するにあたって、阿蘇さんと事前に雑談させて頂いたとき「どうですか、TBSさん、また落ち着いてきて戻りたい、みたいな環境とか雰囲気とか、社内、あったりしますか? 」みたいなことをふらっと聞いたんですよね。なんだかんだで戻りたいという空気感が強いのかなと思っていたこともありまして。そうしたら阿蘇さんが「いや、戻りたい、というよりも、もう様変わりしすぎて『戻れない』感じのほうが強いかも」とおっしゃっていて、それは面白いな、と感じたんですけど。

阿蘇:はい。社内でもいろいろ意見あると思うんですけど、私が感じてることでいうと、これだけ様変わりして、更に(視聴者の)生活態度も変わっているということが大きな要素だと思います。例えばバラエティにしても、人と人の間隔空いたセット。情報番組はリモートでパネラーやコメンテーターの方に出演頂くっていうのがべースになってきているんです。それでも充分できるなということを感じているのは確かです。ただドラマに関して言うと、どうしてもリモートとか人の間隔があるなかでは、当然照明もそうですし、なかなか作るのは難しいなというのを感じているんです。ただこれはもう、社会情勢的にも元に戻ることを考えても、なかなか戻れないだろうなと思って仕事をしている人が多いと感じています。

森永:なるほどなるほど。そういえば、これまでは転勤すると、元々いた場所で培ったビジネス上の人脈が途切れたり薄くなっちゃったりする中、この新型コロナ禍でテレワークが普及したタイミングだと、意外に東京の環境を維持したままで関西いけるよ、恩恵あるよみたいなお話されてましたよね。テレビ番組でも、取材の仕方とかも、リモートだからこそできることが増えていたりするんでしょうか?

阿蘇:そうですね。リモートが増えているのもそうですし、お店の取材とか、そういうところもそうですけど。1からスタッフを沢山連れていくのも現実的でなかったり、予算的にもそちらの方が良かったりが見え隠れしているし、変わってきたと思います。

森永:今、阿蘇さんのお話を伺っていて、テレビの番組を作るときに演出とか仕立ての話の前に「何を送り届けるのか」という根本までさかのぼって考えたら、リモートも悪くない、いいところが見えてきたみたいな変化が、現場でも起きているんだなと感じました。

「何を送り届けるのか」の大本に戻るという話で、こんどは玉置さんにお聞きしたいんです。前に雑談してた時に、東京ウォーカーって「お出かけ情報を作る」ってことを核にビジネスを組み立てているだけで、「雑誌」というメディアの形にこだわってるわけでじゃないよっていう話が、めっちゃ面白いな、と思ってたんですが。

玉置:まさに新型コロナ禍直撃でして、東京ウォーカーと横浜ウォーカーと九州ウォーカーが6月20日を最終号に休刊しまして、関西ウォーカーと東海ウォーカーは紙も残っているんですけど、基本ウォーカープラス中心に変わったんですね。ウォーカープラスっていうのは、Webサイトなんですけど、実は20年以上やっていて、非常に古いサイトなんですよ。森永さんに言ってたのは、僕自身は、もともと、産経新聞で事件記者をやった後、福武書店、今のベネッセですけど、そこで女性誌をやって、その後ウォーカーを30年近くやってるんですけど、とにかく基本はお出かけ情報をずっと発信してきたんですよ。その中で、よく雑誌やってる人間は紙への思い入れというか、プライドがよくあるんですけど、僕自身は、すごく長くやってるんですけど、実はあまり紙に思い入れが無いんです。

森永:思い入れすら無い!?

玉置:要は、お出かけ情報というか、情報を発信することに、情報を流通することに興味があって。だから、デバイスは何でも良いんですよ。さっき色々、まさにメディアがどう変遷しているか、というのをご説明されてましたけども、お出かけ情報を出すにあたっては、紙でもWebサイトでも、あるいは、モバイルでも、あるいは、一時期動画配信の番組も作ってたんですけど、そういう動画配信、昔はUstreamですよ。

森永:なつかしいですねUstream。

玉置:Ustreamなんですけど、要はデバイスを全く僕は気にしなくて、むしろそれは、複合的にやった方が面白いっていうのを、ずっと言ってて。昔僕はウォーカーREBORNというの情報メディアの複合的な再統合をウォーカーの総編集等だったときにやったんですよ。

森永:素人目の判断で「今もう、お出かけ情報はネット上に死ぬほどいっぱいあるし、わざわざ雑誌を買う必要がないから、ウォーカー系は辛いんじゃないかな? 」って結構言われたりしませんか? とお聞きした時に「いや、お出かけ情報を作るっていう、本業の根源がもともとあって、それをどう出すか、を考えたら、別に出し先は色々で良いよね」っておっしゃってましたよね。

玉置:そうなんです、僕、デバイス自体は本当に気にならないんですよ。むしろ、複合的にやる方が面白いと思うんです。先ほどからの、キーノートセッションのときのチャットにもありましたよね。「今テレビもデジタルだよ」みたいな書き込みが。

森永:ありました、ありました。

玉置:本当だと思うんですよ。だからテレビ画面なのか、紙の雑誌なのか、いわゆるスマホのモニタなのか、タブレットのモニタなのかってあんまり本当は、関係無いんですよね。阿蘇さんにお聞きしたいくらいですけど(笑)。

森永:どうでしょう阿蘇さん?  今回テレビでは、昔のドラマが再放送によってものすごい復活して、時代を超えて色々反応されていてましたよね。アーカイブを活かすことができるテレビの強さみたいなものを、改めて感じたりしたんですよね。チャネルを選ぶんじゃなくてコンテンツ1つを選ぶ時代に変わりつつある中で、逆に再放送の強みを見直すこともあったのかなあと思うんですが、TBSさんはそのあたりどのように捉えて進行してたのでしょうか?

阿蘇:例えばドラマでいうと、「JIN−仁−」や「逃げ恥」は、やはり視聴率も反響も良かったです。やはり良いものを出せば、視聴者は見てくれるんだなということと、それを見るところが今はデジタルによって増えているのも、逆に良いことじゃないかなと。増えることによってSNSで拡散されて、またテレビに戻ってくるという現象がさらにあって。そういう意味でいうと、制作者達も良いものを作れば、何年経っても人は帰ってきてくれるんだ、と思った部分もあると思います。

森永:それこそ、コンテンツをマネタイズする時間軸を、テレビの本放送タイミングや本の出版タイミングみたいな「その日、その瞬間」だけで考えるんじゃなくて、長く広くとらえて見直すようになったって感じですかね。

阿蘇:そうですね。もともとテレビ局には2つのお客様がいます。1つはスポンサーさんがいて、もう1つはテレビの前の視聴者です。ビジネスモデル的には、どうしても我々営業はスポンサーさんと向き合うことが多くて、番組制作者は視聴者に向き合っていることが多いです。ここでマネタイズというお話ありましたけど、昔のアーカイブをどうやってもう1度世間に広めていくか、とか、場合によっては世界に広めていく等に取り組むタイミングが丁度きていたと実感もしておりました。これは新型コロナ禍以前からですけども。また、私が大阪に来たこの7月の人事でも、今流行りのDX局という、デジタルトランスフォーメーション局という局ができて、そこで(配信に関する)制作とか権利処理とか営業とか、一括してやるようなシステムになったので、より(コンテンツとしても)BtoCにも近づいた仕事が増えるのではないかと感じております。

森永:なるほど、なるほど。DX、デジタルトランスフォーメーションっていうと、テクノロジーをどう取り入れるかという話ばかりになりがちですけれど、本来は新しい時代に合わせるために、自分達の本業の足元をちゃんともう1回見直して棚卸して、そこにどんなテクノロジーを当てるか、という考えを積み上げていくことが、まず必要だと思うんですよね。以前玉置さんとお話していたときに「コンテンツの1つ1つとか、ニュースに乗っける情報の1つ1つは、実はちゃんとしているのに、それをどう番組とか紙面のフォーマットに乗せて出そうか、という加工をし始めた瞬間に、なんかおかしくなるところが目につくようになった」っておっしゃっていたのが印象に残ってまして。メディアは、フォーマットの見直しが必要なんだって何回も何回もキーワードでおっしゃってたなーと思うんですが。

玉置:非常に口はばったいというか、阿蘇さんがいる前でしゃべるのもしゃべり難いのですが。人によって色々だと思うのですが。多分、新型コロナ禍が非常にひどくて、緊急事態の頃は、本当に家にいる時間が長かった人が多いと思って。新型コロナ関連の情報を知りたい、ということで見てると、テレビってものすごくたくさんワイドショーとニュース番組があるんですよね。段々、見るのがしんどくなった人もいると思いますけども、結果、家にずっといると、ものすごい時間、ニュース番組があって、ワイドショーがあって、お昼とか全部並んでるじゃないですか。みたいなことがあって、その時に、ワイドショーの情報発信の在り方というのが、例えば行政の方から逆に批判したりとか、批判するのはどうか、とか色んな議論があったんですけど、僕はむしろ、そういうことよりも、ワイドショーのニュース記事の作り方にせよ、僕らの雑誌の作り方もそうなんですけど、イノベーションしてないよね、と。

森永:型にはめてる、みたいなことですよね。ワイドショーだと、ここでキャッチーな事実情報出して、次にちょっと泣きのエピソードを入れて、みたいな構成のパターンというか。

玉置:そうそう、そうそう(笑)。

森永:メディアが情報を出すときに、パターンを踏襲しすぎじゃない? ていうことですよね。

玉置:多分、だから何か、時代はどんどん変わっていってるけども、僕もずっとメディアで飯を食ってきた人間ですけど、意外にフォーマット変わってないよね、っていうのがあって。今回、もとの世界には戻れない、という話が出てますけど、むしろ、僕はこのチャンスにメディアって色々変革すべきではないかと。面白いとか面白くなかったとかいう話ではないじゃないすか。

森永:新型コロナ禍関係なく、もっと前から始まってたよね、っていう印象ですよね。

玉置:今日、正確な情報を伝え、それを、情報じゃなくて実用するっていう話、すごくうなずいてたんですけど、そういうところにメディアも合わしてかなきゃいけないんじゃないかな、と思うんですよね。まだまだ現状でいうと、不安を煽ったりする内容が視聴率をとったり、部数をとったり、まだまだあるんですけども、僕はそこをすごく考えるチャンス、チャンスというか機会じゃないかな、と思うんですよね。

森永:確かにそうですね。冒頭の方で阿蘇さんも、「TBSも変わったから、このままどんどん変えていこう、みたいな雰囲気あるんだよ」とおっしゃってましたけど、まさに現場でコンテンツを作っている人達が仕入れてきた材料自体は悪くないはずなんですよね。でも、仕上げる時に最後、突然昔からのフォーマットに無理やりはめようとした瞬間、時代に合わなくなってきている、ということを見直す時期なのかもしれないな、と、色々話を聞きながら感じていました。

ちなみに大きく今見直されているものとして、この新型コロナ禍で特に顕著なのが音楽ライブとか、スポーツなどの観客の入れ方ですよね。先程のキーノートで言うと「そばにいる距離感」。密にできないから無観客配信にしたりする中、距離感の近さみたいなものを作るために、野球の放送も日々、球場も放送も音の出し方の工夫をしたりと、いろんなことを試したり変えたりしてますよね。
というわけで次のパートに移っていきましょう。

森永:「テクノロジーをどう使っていくか」について考えていきたいなと思うんですけれども。音楽ライブとかスポーツとか、変化せざるを得ないという話をこの数ヶ月色んなところでしていたわけですが、玉置さんが、「eスポーツ用に作った箱って、実はこの時代に超マッチしているんですよ」とおっしゃっていたの、面白いなあと思いまして。

玉置:なかなか辛い話にもなるんですけど、本当は、この7月に東所沢にうちの会社が作っているサクラタウンという、東京ドームくらいの施設があるんですけども。そこに本社も移るんですが、その中にジャパンパビリオンていうホールがあるんですよ。大小のホール。

森永:よりによってこのタイミングでオープンかあ、っていう。

玉置:Zepp Tokyoくらいの大きさのホールともう少し小さいのと2つホールがあって、あと、野外ホールもあるんですけど、このホールを作っているときに、うちの角川歴彦っていう会長がいるんですけど、去年ある程度進んだところで「やっぱりeスポーツだろう」っていう話になって(笑)。eスポーツに対応すると結局通信設備とか放送設備が必要になってくるんですよ。それだけで何億ってかかっちゃうんですけど、「わかりました! 」ということで(笑)、建て直したんです。年が明けて、実際に新型コロナ禍がおきてみると、リアルのホールに人をギリギリ、ギチギチに詰め込むのはできなくなったわけですよね。そうなってくると、もともとeスポーツの大会とかもやろう、という風に進めていたんですけど

森永:すごい先見の明というか、決断ですよね。

玉置:要はそのホールに入る人ゼロっていうのは、僕、非常に臨場感無いと思うんで、今、ライブハウスとかでやってるみたいに、ある程度は人を入れるべきと思うんですけど、そういう人達は、高いお金であったりとか、プレミアムなお客さんということで入れて、あとは完全に、ネット、デジタルで見て貰うという。リアル&バーチャルていう、方向性が見えてきたんじゃないかな、という風に思ったんですね。そのときに、うちの会社の人間とかは、「これって、結果的にサクラタウンのジャパンパビリオンて、そういう使い方できるよね」みたいな話になって。まだ、これからですから本当にうまくいくかわからないですけども、すごくそういう話はしましたね。1つは、うちの会社でいうとドワンゴっていう会社があるんですけど、子会社になりますが。そこでニコニコ超会議ていう、今年本当は10周年だったんですけども去年リアルで2日間で15万人来て、ネットで666万人くらい見ていたんですけども、今年当然、幕張メッセでできないんで、期間は8日間に伸ばしましたが、ニコニコネット超会議っていうのをやったんですね。

森永:やられてましたね。私もちょいちょい見てました。

玉置:そしたら、その8日間で1,600万オーバーの人がやってきたんですよ。

森永:なんと。桁が違う人数。

玉置:なので、リアルとデジタルということは、よくよく考えてみなきゃいけないなと。だから、いわゆるコミケですよね。うちの超会議よりも大きくて1日に20万人リアルに人が来るっていうコミケ、今年東京ビッグサイトでできなかったです。あれを本当はやる日だったときに、ハッシュタグとかで実際の日時に合わせてエアコミケやりましたよね。エアコミケの間のインプレッションが3,300万ですよ。

森永:あれも盛り上がってましたよね。私もコミケいけなかったので。

玉置:リアルとデジタルの取り合わせ、組み合わせあるいは、デジタルの可能性というのに関して、新型コロナ禍の間に相当色んな問いかけがあったんじゃないかな、と思うんですよね。

森永:そうですよね。確かにeスポーツだと競技の性質上リアルタイムに反応が返ってくることがとても重要なので、アップロード回線とダウンロード回線の両方が太くなきゃいけないってなりますよね。今、スポーツの応援でもやっぱり、家の歓声を向こうに届けたいっていう風になると、リアルタイム性みたいなことがどんどん求められるようになってくるんですよね。当然、ご家庭の環境も必要なんですけども、スタジアム側も音響設備や回線設備がちゃんとしているところの方が人気が出る、みたいな要望の変わり方もあるのかな思ったんです。そのあたりTBSさんはBLITZとか……作りかえる計画進められてる中、考慮されたりとかするんでしょうか?答えにくいかもしれないですけど(笑)

阿蘇:その辺はまだ(笑)。

森永:まあ言えません、みたいな感じですよね……

阿蘇:ただ、テクノロジーとかインフラに関してはやっぱり、従来通りのものじゃダメだっていうのは、ベースであるのでその辺はまだまだ課題の中に入っています。

森永:ちなみにテレビの現場でいうと、この新型コロナ禍によってテクノロジーの検討とか色々なものが現場でも始まってて、コンテンツの作り方がテクノロジーの導入によって変わりそう、と前におっしゃってましたよね。そのあたり今、局内では、どんな感じですか?

阿蘇:まだ実践できていないことが多いので、具体的なことを申し上げられるわけではないですけど、最近の例でいうと、新型コロナ禍でスタジオ収録できなかったときに、リモートで出演者の部屋をつないで4人の出演者が総集編をみんなで飲みながら語る演出があります。土曜夜「人生最高レストラン」ですが。これはスタジオ収録できない間に、スタジオゲストの方々はそれぞれリモート出演しながら、飲みながら過去の名場面を振り返るというような作りでした。豪華なセットの方が良いのかもしれないんですけど、ただ、豪華なセットじゃない分、逆に言うと人の日常に近づいたというか、、

森永:家飲み感が出てきた、みたいなことですか? 親しみやすいというか。

阿蘇:家の飲み感。そうですね。視聴率に表れない部分で言うと、共感みたいなことは与えられた、というか掴めたんじゃないかなという風に感じております。

森永:そういう時って、Twitterの反応を参考に見られたりするんですか?

阿蘇:そうです。Twitterの反応を見ていてですね。スポンサーさんと見ていたこともあって、そのスポンサーさんへの親近感を感じたみたいなコメントも多くあったのを知りました。テクノロジーの話からいうと、アナログに近いテクノロジーではあるんですけども、今まで気付かなかったことですが、こういう作り方が出てきたなという感じはします。

森永:なるほどなるほど。この新型コロナ禍による変化がテクノロジー活用を要求してきて、結果的にその番組とかコンテンツが実は一番届けたかったものの本質を見直させることにつながる感じなのかもしれないですね。

阿蘇:そうですね。なので、この新型コロナ禍の常態化というのがどういう風にこれから定義されていくのか、にもよると思うのですけど、もしかしたら、先程玉置さんがおっしゃってたような、フォーマットをどう考えるかとか、場合によってはタイムテーブルがどう変わるのかというのも、これからメディアとしては向き合っていかなきゃいけない課題かなと感じています。

森永:なるほど。じゃあここで改めて、前半のキーノートセッションを振り返ってみたいと思うんですけれど……。

森永:「生っぽさ」で伝える、とか「側にいる」をつくる、という上2つをここまで、なんとなくしゃべってきたんですけども、最後3つ目のレイトマジョリティの話をして終わりに向かいたいな、と思っております。

キーノートの方でもありましたけど、レイトマジョリティが、女性が来る、ということで。30代以上の女性ってずっとマスメディアの中心ターゲットだった、というか、マスメディア側が割と得意にしてつかんでいたターゲットだったと思うんですよね。この人達が変わってしまうことで、どんなことがありそうだと考えている、とか、どんなことをやりたい、とか玉置さん、あったりしますでしょうか?

玉置:実はウォーカーっていう雑誌自体が、東京ウォーカーができてから地方でも色々なウォーカーも作りましたけど、ほぼどのウォーカーも男女比は50:50なんですよ。結果的に。

森永:お出かけは性別関係なく平等だ、ということですね。

玉置:ですね。時々は女性の方が多かったり、特に関西ウォーカーが全盛だった頃は、いわゆる統計調査みたいな無作為に抽出した人がみている雑誌の調査をしてたんですけど、それで見てると、女性誌よりもウォーカーを見てる人の方が多かったんですね、関西とかだと、逆にいうと。それって、だから、既にさっき言ってた、情報よりも実用というのと同じ話で、ウォーカーって実用的じゃなかったら意味が無いんですよ。それを見てどっかに行けたり、何か買ったり、何かに使えないと、ほとんど買ってもらえない雑誌なので。もともと面白さよりも実用性なんですね。そうすると、もう圧倒的に女性なんですよ。その面白さということだと、男性の方が飛びつきやすいんですけど、なので、その辺も、本来はウォーカー、今は紙がいくつか休刊していますけど、Webサイトが今中心なんですね。ウォーカープラスって、月1億PV以上あって、花火とかだと、地域と花火っていれるとウォーカープラスが一番上にくる。だから8月だと2億PVはいくんですけど、今年は無くなっちゃうんで、

森永:そうですね、花火大会できないですもんね

玉置:厳しいですけど。なので、まさに、これまで僕らがやってきたことを試されるフェーズに入ってきたのかな、と。

森永:なるほどー! 一方で阿蘇さん、テレビの方からすると今まで、ある意味受け身だった視聴者達が能動的になるっていうことかもしれないという見方もできますが、このあたりどう捉えてらっしゃいますか?

阿蘇:そうですね。やはりTwitter等SNSの反応を見ていると、テレビと視聴者が離れていることに気付いていなかったところに、気付くようになってきた。と昨今感じていました。そういう意味でいうと、先程のCの部分(ビジネスとしても)BtoBからBtoCの部分の、Cに向けたコンテンツ作りだとか、Cの意見が反映されたコンテンツ作りとか商品作りというのが、今後更に向き合っていかなければならないことと感じています。

森永:なるほど、ありがとうございます。パネルディスカッション的には、ここらで締めようかな、というところなんですけど、視聴者の方から質問が来ておりますので、チャットを見ていきたいと思います。

 

森永:阿蘇さん宛ですね。読み上げます。「再放送のドラマの話が出ましたが、こちらは売上としてはどうなったのでしょうか? ヒットコンテンツといえど、一般的な新ドラマの提携より安かったりしますか? それとも、スポンサーさんは、再放送でも新ドラマと同等の期待、価値を感じているのでしょうか? 」っていうことなんですけど。まさに昨日、阿蘇さんとこの話をタイムリーに超雑談してたな、と(笑)。お話頂けますでしょうか?

阿蘇:正直、非常に答えにくいことではあります(笑)。ただ、スポンサーさんからはもちろん、同程度の価値は望まれてますし、かといって、再放送だから値段が変わるのかというとそういうわけでもないです。結果としては、視聴率も含めて視聴者からも賛同を得られているという状況でした。(すみません……)

森永:なるほどー、ありがとうございます。そしてもう1つ質問です。「メディアが視聴者や消費者の心理的な距離を詰めるために必要なことは? 近いメディア、近いコンテンツってどんな要素が必要でしょうか? 」という質問なんですけど、こちらは玉置さん、いかがでしょうか?

玉置:それについて言うと、僕がウォーカーでやってきたことっていうのは、完全に読者目線というか、使う人目線なんですね。僕が新人にいつも言ってたのは、編集者目線で作るなって言ってたんです。

森永:あー、なるほど。

玉置:編集者は、実際の読者目線でなく上から見て俯瞰してもの考えちゃうんだけど、自分が利用者としてレストランに行ったり、あるいは市場に行ったりしたときに何を買うかっていう、その実際に動いている人の目線で作らないとウォーカーって絶対使ってもらえないから、っていうことをいつも言ってたんで。

森永:まさに先程おっしゃっていたやつですね、雑誌作りのフォーマット先行で考えるな、みたいな話ですよね。

玉置:そう、そうそう、そうそう。この時代のメディアが一番考えなきゃいけないのは、編集する、というスキルが僕らにとって唯一のスキルなんですけど、カッコいいつくりだけでは使う人の視点とは、ずれちゃうんですよ。

森永:見栄えというか雑誌としての仕上がりは良くなるけど、実用的かどうかみたいな。

玉置:非常に矛盾したことを言ってるんだけど、水のように編集するということをこれまでずっと考えてきたんですけど、それが、これまで以上に問われるっていうことになるんじゃないんですかね。少なくとも、実用性のない仕掛けは外していかなきゃいけないな、みたいな感じですね。

森永:なるほど、なるほど。編集者の価値みたいなものも、時代に合わせて見直していくみたいなことですかね。

玉置:そうせざるを得ない状況ですよね、今はね。

森永:阿蘇さんがいかがでしょうか? 近いメディア、近いコンテンツに必要なこと、といわれると

阿蘇:そうですね。非常に難しいですけど。実は、関西支社の営業というのはラジオもセールスの範疇なんですね。ラジオの会議に出ていると、ラジオの番組の内容とか編成に関してかなりデジタルとの融合みたいなのが、言葉として飛び交ってまして。タイムテーブルもradikoを意識している部分もあって、若向けにタイムテーブルも改変されてきているのも事実です。なので、そういう意味でいうと、最初のメディア接触時間で面白かったのが、ラジオと雑誌が伸びているっていうのが現状としてあり、これが、先程玉置さんのおっしゃられた様な、デジタルとの連動とあわせて上がってきているんだと思います。そういう意味でいうと、TBSでいうと、まだ考える先は長いんですけども、ラジオとかテレビとかとSNSとかと連動というのも、今後更に出てくるのではないかという風に感じています。

森永:そうなんですね。

阿蘇:ダイレクトに、どちらかというとラジオの方がユーザに近い、リスナーに近いということから言うと、こういう目線もメディア作りにフィードバックできていけば良いのかなと、いう風な感じです。

森永:ラジオに関しては、7,8年くらい前はTwitterのトレンドにあがるといったら、テレビ番組だったんですけど、もうこの3,4年くらいラジオ番組がTwitterトレンドにあがるのが当たり前のようになってきてますよね。あれ、このトレンド入りしているものなんだろうと思って調べたら関西のラジオか、聞けないなぁ、みたいなことも増えてきたんですよね。若者の方がフラットに面白いモノをさがしていて、フォーマットとかデバイスにこだわってないな、というのは感じるところですね。

玉置:僕、いま一番大好きな番組は、「町中華で飲ろうぜ」なんです。僕のSNS見てもらうと、町中華ばかりつぶやいているみたいな。あれはまさに消費者目線というか、玉袋さんとか高田秋ちゃんとか、本当に彼らの目線ですよね。町中どこにでも中華屋ってあるじゃないですか。そこに行くっていう番組の作り方、ものすごく僕、画期的だと思うんですよ。だから、今おっしゃった、身近っていうことでいうと、町中華ほど身近なものは無いんじゃないかと思うんです。すいません、それだけ。

森永:じゃあ、最後にこの時代変化の中、直近から今後半年、一年、どのように過ごしていかれる予定かを、それぞれお聞きしたいと思います。まず玉置さん、お願いします。11月にサクラタウン開きますけど。

玉置:僕の所属する2021年室のミッションは、これまでのメディアに収まらないものを、KADOKAWAのIPでやろう、ということで、大きく言うと、オリンピック、パラリンピック、オリパラと、それから万博のプロデューサー、発表ありましたけど、2025年の万博。それから、統合型リゾート、IR。これ全部今、超逆風で全然話が進まないんですが。ただ、今こういうこと一生懸命やらないと、その先が無いと思うんですね。オリパラって、なかなか厳しいことおっしゃる方も多いですけど、1年後にやろう、ということですから、我々としては、それに一所懸命取組んでいるところです。だから、非常に、先のことを不安に思いながら、それをやらざるを得ないというか。むしろ、こういうときだからどうすれば良いか、というのを考えるみたいなことの日々ですね。

森永:ありがとうございます。阿蘇さんはいかがでしょうか?

阿蘇:これから1年というと、営業目線になってしまうんですけども、一番最初にあった、鮮度が大事とか、複数のメディアから情報をとっている、というのが消費者一般の人達の行動だと思うので、そこにいかに目を向けるかっていうことが大事かと。更にそれを支えるメディア連動みたいなことを、どうやって編み上げていくかということが大事かなと思っております。テレビで言うと我々の今回の人事では、営業の中に制作に携わってきた人間が多く加わりました。先に消費者の方々がいる、スポンサーの要望にどう応えるか、どう番組に反映させて、逆にそうすることで一般の視聴者の方々の声をどうやって集めるかというきっかけにもなると思うので、宣伝っぽく言うつもりは無かったんですけど(笑)、そういうところにも向かっていきたいと思います。

森永:ありがとうございます。こちらでパネルディスカッションは終了になります。お二人に大きな拍手……はウェビナーでは無理なので、たくさんの反応をチャット欄にお願いします。ということで玉置さんと阿蘇さん、どうもありがとうございました!

玉置、阿蘇:ありがとうございました。